「すべてが、ここで完結する。」カミチクグループの“6次化”に迫る

取材・文:高橋
「この牧場の先に、あの焼肉店があるなんて」
訪れたのは、鹿児島県内にあるカミチクグループの施設。
牧場の静かな空気の中で、担当の山里さんが笑顔で迎えてくれました。
「エサ作りから自社でやってるって、本当ですか?」
高橋:「まず最初に聞きたかったのが、“エサ作り”についてです。ここから始めているというのは、かなり珍しいですよね?」
山里さん:「そうですね。うちは“お米”を主原料にした飼料を自社開発しています。
どうしても輸入に頼る部分が多いんですが、なるべく国産でまかなえるようにするためです。
エサは牛の健康だけでなく、最終的な肉質や脂の風味にも大きく影響するんですよ。」
「食べさせ方で、味が決まる」
山里さん:「うちのエサは“黒糖・焼酎粕”など地域資源も活用していて、地産地消とSDGsにもつながっているんです。」
高橋:「牛って、食べているものがダイレクトに味に出るんですね」
山里さん:「まさに。エサこそ“見えない職人技”なんです。」
「この牛が、やがて飲食店に並ぶ」
見せていただいたのは、屠畜されて枝肉となり精肉される前の工程。
“命を扱う”現場で感じたのは、丁寧さと緊張感でした。
山里さん:「餌づくり・生産・加工まで責任を持って一貫管理しているからこそ、品質保証ができるんです。」
「加工の丁寧さが、“食べる感動”を決める」
高橋:「現場で感じたのは、加工というより“仕上げ”ですね。芸術品を扱うような印象でした。」
山里さん:「ありがとうございます。うちでは、筋切り・スジ引きまで徹底して“味のブレ”を出さないようにしています。」
↑枝肉を切るときめ細かい霜降り具合がはっきりわかります
「販売まで自社で。責任のバトンが途切れない」
育てた牛を自社で販売すること──それが、カミチクグループの強み。
山里さん:「スーパーや直営の焼肉店での販売、そして最近では海外輸出も増えています。
“黒毛和牛”ではなく、“この牛”を届けている感覚ですね。
六次化事業によって外食店舗も経営しているからこそ、飲食店舗のかゆいところに手が届く感じでしょうか。」
「すべては、おいしいと言ってもらうために」
カミチクが取り組む6次産業化は、「自分たちで作り、自分たちで売る」ことの意味を、改めて考えさせてくれました。
エサに始まり、加工、販売に至るまで。すべてに“人の手”と“責任”が宿っています。
高橋:「消費者としては、安心して“いただきます”が言える。この仕組みがあるからこそ、ですね」
山里さん:「そう言っていただけると嬉しいです。牛も私たちも、全力を尽くしていますから。」
【まとめ】
牛を育てることは、時間がかかること。
でも、その“過程”がすべてわかるからこそ、おいしさに説得力がある。
目に見えない努力と、つながるストーリー。
それが、カミチクグループの6次化です。